1月22日|おっさんの姿で放り出された初日
本編は開会式から始まるはずだった。ところがサーバーの再起動で30分遅れ、ようやく街が開いた瞬間、全員がオープンβの最終位置のままリスポーンした。キャラクターの外見も、所持品も、集めた連絡先もすべて消えていて、多くの参加者が初期状態の「おっさん」の姿のまま、街のばらばらな場所に立っていた。
この混乱を収拾したのが警察署長の犬養だった。警察ヘリで迷子を拾い、就職窓口のあるビルの屋上まで運ぶ送迎を始める。料金を1,800円から2,400円に値上げするロールプレイを挟んだこともあって、これが初日の名物になった。全員が連絡先を交換し直すところから、この街は始まっている。
職業の枠取りもこの日に決着した。メカニックは早々に定員に達し、警察は枠が余ったため、犬養が街頭で勧誘して回ることになる。同じ日に、聖ルナリス教会、教会教祖、武器商人、猫カフェ店長、ドーナツ屋、メカニック社長、チンチロギャング、ゴリラ、おばけといった役どころが一斉に生まれた。犯罪は小型のみの解禁で、車両盗難とコンビニ強盗が中心だった。
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1月23日|4組のギャングが3組に絞られた夜
街にはギャングが4組あり、運営は3組に絞る必要があると判断していた。24時、全ギャングがマップに表示されない離島カヨペリコに集められ、主催の犬養の進行で存続をかけた3本勝負が始まる。1本目は各チーム7人ずつ計28人の殴り合い。ここで初心者モードを切り忘れていた参加者がダメージを受けないまま生き残ってしまい、後に「勇者現象」と呼ばれてネタになった。2本目はヘリから飛び降りて指定地点にどれだけ近く着地できるかを競う逆人間コンテスト。3本目は、一定確率で体が燃える激辛カレーパンをリーダー同士が食べ合うロシアンルーレットだった。
敗れたのがスイートギャングだった。2日間ずっと一緒に動いてきたメンバーが解散することになり、泣き出す参加者もいたという。彼らはこの後、まとめて警察へ転向する。この「解散した集団がそのまま警察になる」という展開が、以降10日間の人の動きを決めることになった。
集会のあいだ全ギャングが島にいたため街の犯罪は止まり、終了後の24時45分から再開された。警察側ではこの日から昇格試験が始まっている。
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1月24日〜25日|大型犯罪が解禁され、街に金が回り始める
3日目に大型犯罪が解禁された。街の中心にある地下金庫を天井から破るユニオンヘイストと、豪華客船。中型としてコンテナ強盗・ボブキャット・パレット襲撃が加わり、武器商からはSMGが流通し始める。前日に解散したスイートギャングの11人はまとめて警察に入り、元ギャングの警察官が別のギャングのユニオン強盗に出動する、という構図が生まれた。彼ら専用の拠点として「南署」が急ごしらえで追加されたが、最初のモデルは描画が重すぎて周辺の人が次々に落ちてしまい、差し替えられている。
夜22時には公式企画のファッションショーが開かれた。主催は参加者のあーるくん。同じ日、リサイクルセンターの素材で作る「ゴミ袋」が実装されている。食べると100%爆発する罰ゲームアイテムだが、質屋に持ち込むと1億円になるという隠し仕様があり、後に玄武會の3人が4時間かけて1個作り、使い道が分からず運営に問い合わせて売却にたどり着いた。
4日目には教会の動きがピークに達する。カルテルへの言及は1,695回で全日最多。表では加護のアイテムを売り、裏では素材を集めて薬を作るという二重の商売が同時に回っていた。牛丼ギャングを名乗っていた面々が動き出し、翌日「ぎふてっど」と名乗ることになる。一方で警察は、犯罪が起きなければ現場もないという状態に入りつつあった。
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1月26日|伝言の行き違いから、全ギャング対警察になった夜
折り返しのこの日、ギャング側の罰金が高すぎて大型犯罪が割に合わないことが問題になり、小型25万・中型100万・大型500万に引き下げられた。それまでは車を押収されるだけで750万かかることもあり、捕まると手元に何も残らなかった。
そして、この10日間で最も大きな戦闘が事故から生まれる。発端は「警察が暇なので大型を起こしていいか」という運営内の提案だった。当初はサポーター数人とギャングのボス1人でユニオンの手順をレクチャーする小規模な想定だったが、「ギャングボスに声をかける」つもりが「全ギャングに声をかける」と伝わってしまい、30数人が集結する。全ギャング対警察の大規模戦闘、いわゆる全面戦争ユニオンになった。運営は裏でサーバー負荷を監視しながら見守り、人数で勝る警察が優勢のまま終わっている。後に運営自身が「事故から生まれたが、やって良かった」と振り返った。
同じ夜、翌日の闇オークションに向けて最強市民集団のラグナが誘拐され、無理やりボイスを録音させられる事件も起きている。
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1月27日|祭りの裏で、街の経済が壊れる
22時、教会で闇オークションが開かれた。主催は月魄あちあ。ゲーム内ニュースに宣伝記事を出して集客し、出品されたのは参加者のボイスだった。前日に誘拐して録音させたラグナのボイスも並んでいる。目玉のひとつが署長・犬養のドエスボイスで、これを落札するために稼ぎたいという参加者まで出た。運営はオークションに合わせて1時間の犯罪禁止時間を設定している。実測でも、この30分に22本の配信が同時にオークションの話をしていて、街全体が同じものを見ていた。
ところが同じ時間帯に、街の経済が壊れ始めていた。釣りのレア魚の出現率が、別の不具合を直した際に初期値へ戻ってしまい、高額な魚が次々に釣れる状態になっていたのである。50万で売れる「白マンタ」の噂が広まって釣り場に人が集中し、ギャングの頭数が割かれて犯罪が回らなくなった。運営会議では「理由をつけて釣りをやめさせよう」という案まで出ている。
実際にとられた手は変わっていた。釣っている人がいるとシステムを再起動できない仕様だったため、運営の五味屑が釣り人の輪に混ざって雑談し、爆発する食べ物を食べて周囲もろとも死亡させ、無人になった隙に再起動して調整を反映させた。演技が自然すぎて誰も意図に気づかなかったが、釣り人たちには「アドが変わった」と数秒で見抜かれている。
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1月28日|外から来た大物と、その名を騙った詐欺
にじさんじの叶が街に入った。犬養はこの日を「ギャングが1チーム増えた、ここが署長の正念場」と題している。そして、その参入を利用した詐欺がその夜に起きた。
エマニュエル・コメットが「叶公認」と嘘をついて、叶と1対1で30秒から1分話せる握手会イベントを企画したのである。参加費は3,000万。当初は1億円を取りたいと周囲に相談しており、公認は一切取っていなかった。実測でも、握手会に触れた配信が最も集中したのは深夜1時半からの30分で26本、この日82本が話題にしている。参加費を集めたこの詐欺は、当日のうちに街全体へ広まった。
同じ日、花萌葱スイハとペトラナイトメアのサキュバス喫茶が開店している。2時間の営業で総売上30億を超え、期間中で最も儲かった店になった。稼ぎ方が犯罪から接客へ移りつつあったこの時期、警察側は「街が静かで暇だ」と話していた。
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1月29日|24時からの謝罪会見
前日の詐欺を受けて、24時から市役所前で記者会見が開かれた。形式を考えたのは犬養で、ホテル勤務時代のクレーム対応(何が起きたか、原因、謝罪、再発防止)をそのまま当てはめたという。私服で参加する人が多く、街の一大イベントになった。実測でも、この30分に53本の配信が記者会見に触れている。
この日は22時半ごろにサーバーの接続不良も起きていて、多数が一時的に落ちた。残った参加者が「選ばれし者が残った」と冗談を言う場面もある。同じ日に予定されていた公式企画「Vの主張」は日程変更で翌日に流れ、代わりに記者会見とレースイベントが行われた。
経済の面では、釣りのナーフを受けて警察が苦しくなっていた。装備が全部自腹だと訴える者が出る一方、「客船なら5〜6億入る」と聞いてギャング入りを勧められる警察官もいた。カジノ強盗が解禁されたのもこの日で、後半は大型犯罪だけが金になる街に変わっていく。
この日を詳しく → DAY8
1月30日|壇上からの告発と、同じ夜の結婚式
通常のロールプレイとしては、この日が最終日だった。翌日は歌謡祭と祭りにあてられるため、それぞれがやり残しを片づける日になる。
公式企画「Vの主張」が行われたのもこの日だった。立案・台本・進行はにしがはちで、犬養がアシスタントMC。建物の上から下の観客に向かって、言えなかった感謝や不満、告白を叫ぶという形式で11人が登壇した。初心者モードを切り忘れて生き残った告白、自分はおじさんだという宣言と地声披露、コスプレしていた作品の原作を見ていないという謝罪、爆発する食べ物を食べてダウンするのをやめろという救急からの苦情が続く。
そして締めに登壇した奇屋敷ゾンゾンが、スイートギャングのボスに向けて「ギャングの資金だと言って何度も電話をかけ、15億を貢がせた」と告発した。その場で本人が呼び出され、企画はそのまま裁判に発展する。
同じ夜の23時から24時にかけて、結婚式が行われた。手配役は皇ハクで、本人に伏せたままのサプライズとして準備が進み、複数組が同じ夜に式を挙げる形になって順番待ちまで発生している。結婚式への言及は1,277回で、この日だけで全日の6割を占めた。告発と裁判と結婚式が、同じ2時間のなかで並行していたことになる。
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1月31日|歌謡祭、そして最後の祭り
最終日は127本・105人が配信し、本数では全日で最も多い日になった。夜にガチグラ歌謡祭が開かれ、犬養が統括とMCを務めている。ゲストの紹介は当日になって演出が変更され、名前を先に出さずに経歴だけを読み上げて最後に名前で答え合わせをする順に組み替えられた。狙い通り会場はざわつき、観客席の参加者が二段階で驚く様子が各視点に残っている。
ゲーム内で生歌唱を実現するために、ノイズキャンセリングを解除するコマンドが当日判明したという裏話もある。ただし本番中、観客の一斉の返事が攻撃と判定されてボイスサーバーが停止し、全員の声が消えたまま殴り合う時間が生まれてしまった。予備が用意されていたため復旧している。
歌謡祭のあとは自由時間になり、大型犯罪と襲撃が解禁された。空飛ぶ車、空飛ぶバイク、ジェットパックも解放され、街は最後の祭りになる。救急隊には運営からジェット機が贈られ、全員で乗って締めくくった。同時に配信していた人が最も多かったのは深夜1時20分ごろで87人。歌謡祭が終わってから犯罪が解禁されたため、この日は深夜に人が残り続けた。
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2月以降|答え合わせ
2月4日、公式チャンネルが「振り返る、あの街を。」を配信した。主催3人が街を歩きながら各拠点の内部と仕掛けを明かす回で、マップに表示されない離島カヨペリコの存在、南署の牢屋だけロックピックで脱獄できたこと、ATMは本人のカードとパスワードさえ分かれば他人の口座から全額引き出せたこと、ギャング各組のアジトの内部といった、期間中は誰も知らなかった情報がここで公開されている。
最大の答え合わせは麻薬カルテルだった。10日間、街じゅうが探し続けたカルテルの正体は、表で布教をしていた聖ルナリス教会そのものだった。教祖は事後の振り返りで自ら「教会イコールカルテル」と明かし、薬を車ごとガレージで受け渡していた運用まで説明している。期間中にこれを言い当てていた人は何人かいて、救急のJupe.c(じゅぺ)はオープンβの時点で「教会のリーダーが実はカルテルのリーダーではないか」と口にしていた。
運営ディレクターも振り返り配信を行い、釣りが暴走した原因、全面戦争ユニオンが事故から生まれた経緯、歌謡祭でボイスサーバーが落ちた理由を自ら明かしている。壁抜けのグリッチで施錠された部屋に侵入し、自分のYouTubeに飛ぶQRコードを街じゅうに貼っていたのが望月シュンだったことも、この時期に街へ知られた。
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